トヨタ 94C-V #1 1994 ル・マン
こんばんは、こっくりです。
2020年も早いこともう5月、未だに国内でレースが一回も行われてないのが寂しくてしょうがない・・・梅雨も近くなるしなんか辛いな〜(笑)
そういえば、1日はモタスポ界ではアイルトン・セナやローランド・ラッツェンバーガーの命日として知られていますね、ツイッターのTLでは関連したツイートが多く投稿されていましたね。
そんなわけで今回はこのマシンで!
こちらはスパークよりリリースされたトヨタ 94C-Vです、番号のとおり1994年のル・マンを駆け抜けた本当の意味で最後のグループCマシンですね、こちらは銀箱時代のちょっとばかし古いモデルです。
今日の紹介にこのマシンを選んだ理由は後で・・・!
ベースが91年に活躍した91C-Vだから顔つきは一緒ですね、幅広で大きなカナードがとても印象的。
地面に着いてしまうレベルで車高が低いので全体的に引き締まった仕上がりになっていますね、実際の写真ではここまでは低くは無かったかな?(笑)
でもカッコイイね、カッコイイってのは正義!
このヘッドライトを跨いでマウントされているカナードはいかにもグループCって感じで素敵ですね、国内戦ではポルシェ962とかが凄いデカいカナード付けたりしてましたよね(笑)
そういや、この94C-Vはモデル化が少ない・・・思いつく限りだとAltaya(ixo)、スパーク、イグニッションぐらいでしょうか。
いろいろ見比べたけど個人的にはスパークの94C-Vが好きかなー。
側面から。
サイドポンツーンにこれでもかとギッシリ貼られたスポンサーステッカーが良いですね、ライトを照り返す銀色のリムが素晴らしい・・・そういえば最近は空力の特性を考えフラットなホイールが多いけど当時はそういうの考えたりしてたのかな?
私の好きポイントの1つ。
ヘッドライトの真横にドカッとカナードが付いてるのがわかりますね?
どうよ、めちゃかっこよくない??
以前も紹介したTS010に負けじと94C-Vも欲張りすぎず綺麗なボディラインを持っていますよね、リアフェンダーのなめらかさがとてもグラマラス。
今では見られない深リムホイールがなんともcool!
これ・・・テールランプとかあるの?ってなるリア周り。
リアウイングは低めの幅広でステーも肉抜きされてないマッシヴでシンプルな構造、その変わりにリアディフューザーが凄く鋭利なデザインをしています、ライバルとなるポルシェ 962 ダウアーに対しストレートの伸びでは負けていたもののコーナーでは圧倒的に速かったそうな。
リアディフューザーに付いてる赤い横線がテールランプなのかな?
しかし、プロトタイプカーに渡り合うGTマシンってのもインチキ臭い話ですね(笑)
そういうアクセントも楽しい94年ル・マンではあるのですがね!
上から見るとカナードのおかげで車体が四角に見えますね、実際はヘッドライトのラインが本来のボディライン、フロントカウルに設けられたエラ状のダクトは91C-Vより引き継いでいるものですね。
相変わらずトヨタ車にはデンソーカラーがお似合いだ、白地にヘッドライトから伸びる赤いラインが清潔感のあるカラーリングながら引き締まっててかっこいい、人気なカラーリングだよね。
こちらは1994年ル・マンの車検証、前年まではカテゴリー1/2で分類されていましたがグループCが終わりを迎え、1994年よりGTマシン等も数多く参戦し始めた為新たにLMP1クラスが設定されましたね。
LMP1には94C-Vの他にもクラージュやクレーマーポルシェが参戦。
世界中で争いを繰り広げ世界のファンを熱狂させたグループCはトヨタとプジョーの両ワークスと共に去り、1994年のル・マンからはプライベートチームによる戦いが主流となりました。
これまで長らくグループCに参戦してきたサードはプライベーターチームが主流となった今、頂点を立つならば今が好機であると見定め91C-VをLMP規格に仕様を変えた94C-Vを投入、同じくトラストからも94C-Vが投入され2台のトヨタは再びル・マンの地に送り込まれました、相対するポルシェはグループCの時代を作り上げた962を改良したGTマシン、ポルシェ 962 ダウアーを投入し耐久レースのマシンとしては少々有利な点が多いクラスでもってトヨタの進撃に待ったをかけるのでした。
しかし、サードは93年のル・マンにおいてワークス勢に迫る総合5位で完走を遂げており1994年度の大会では優勝候補として注目を浴びていました、立ちはだかるダウアーはプライベートチームとは名乗るもののスタッフの多くはこれまでポルシェのワークスチームで活躍していた面々やヨーストのスタッフが揃っており、実質的な隠れワークスとなっていました。
スタートを切ると、ポールポジションを獲得したクラージュが頭を引っ張る形でLMP1・LMP2・GT1・IMSA GTSのクラスが混戦状態でトップグループを形成、しかし時が経てば2台の94C-Vと2台の962 ダウアーでのバトルとなりポルシェとトヨタ勢の直接対決となり、夜間走行中にトラストが投入した4号車にトラブルが発生、戦列から脱落してしまいます。
その一方、サードの1号車は快調にラップを重ねレースも残すところあと1時間に、ワークスの成し遂げられなかったル・マン総合優勝の夢が見え始めたところで94C-Vは突然失速、ミッショントラブルによりピットロード出口でマシンが停止してしまいます。
ドライブしていたジェフ・クロスノフはマシンから降り、マシン後端から腕を突っ込み手動でギアを入れ直し再びコースに戻っていきます、しかしミッションにトラブルを抱えたままのためペースは上がらず無事ピットには戻るものの修理には時間を要してしまいました、その間にダウアーの35・36号車が前に出て残りわずかというところでポルシェが1-2体制となりました。
サードは「今更3位では帰れない、こうならば意地でプッシュしポジションを上げるか精魂尽くしてリタイアとなるかだ」とドライバーにオーダーを飛ばし、サンマリノにおいて事故死してしまったローランド・ラッツェンバーガーに代わり起用されたエディ・アーバインは94C-Vをコースインさせ、ポルシェ追撃を開始します。
エディ・アーバインの走りはミッションに不調を抱えているものとは思えない快走でありファステストラップを連発しながらの猛追撃戦となりました、そしてポルシェの背後に張り付いたエディ・アーバインは最終ラップのフォードシケインにてGTマシンに引っかかったダウアーの35号車をパスし94C-Vは2位にて完走を遂げました。
この鬼神の如く猛追撃は「ローランドの魂が乗り移ったかのようだ」と言われ、最後の瞬間までドラマを魅せた94C-Vは世界で人気のある車種となったそうです、現在はサルト・サーキット近くの博物館にて余生を過ごしているんだとか。
ちなみに、94C-Vのルーフには事故死してしまったローランド・ラッツェンバーガーの名前が入っています、日本でもラッツェンさんとして親しまれたF1ドライバーはル・マンの地で共に戦ってくれていたんですね。
今日はアイルトン・セナの命日であると同時にラッツェンバーガーの命日でもあるのでどうしても、94C-Vを選ばなきゃならないなーって思っていました(笑)
いや・・・うちにアイルトン・セナの乗ったマシンが無いのよ!